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ABOUT PDRN

PDRNとは

サケ由来DNA断片がひらく組織再生。ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)の基礎から、開発の歴史・生物学的作用・PNとの違い・臨床応用・剤形・安全性までを、医療従事者向けに解説します。

01OVERVIEW

PDRNとは サケ由来DNAの精製成分

PDRN(Polydeoxyribonucleotide)は、主にニジマス(Oncorhynchus mykiss)やシロザケ(O. keta)の精子細胞から抽出される、50〜2000塩基対のデオキシリボヌクレオチド鎖を高度に精製した成分です。

サケはDNAを高密度に含み大量入手が容易で、ヒトとの塩基配列相同性が高く適合性に優れます。製造工程でタンパク質・ペプチドを徹底的に除去し、アレルゲン性を抑えた純粋なヌクレオチドのみを残しています。

水中を泳ぐサケ
なぜサケ由来なのか?
高いDNA含有量と安定供給
ヒトとの高い相同性
安全性の高い製造プロセス
低アレルゲン性
サケ由来
DNA供給源
DNA抽出・精製
二本鎖DNA
加熱・低分子化
50〜2000 bp
PDRN製剤
注射用
2種
主原料魚種(ニジマス/シロサケ)

安定した供給と品質のため、2種のサケを主原料として使用しています。

50-2000
塩基対(bp)のヌクレオチド鎖長

最適な長さに調整されたヌクレオチドが、組織再生に有効に作用します。

低アレルゲン性・高い生体適合性

高度な精製により、不純物を除去し、安全性を確保しています。

02HISTORY

開発の歴史と背景

PDRNは、核酸(ヌクレオチド)が組織修復を助けるという古くからの研究を基盤に、イタリアで医薬品として製剤化されました。美容・再生医療の広がりとともに、世界各国で用いられるようになっています。

01
1950–60年代

核酸研究の萌芽

ヌクレオチドやDNA由来成分が細胞の修復・増殖を助けるという基礎研究が各国で進み、組織修復への応用が模索され始めます。

02
1980–90年代

イタリアでの製剤化

イタリアの製薬企業により、サケ由来DNAを高度精製したPDRN製剤(Placentex など)が医薬品として実用化。創傷治癒や組織修復の分野で使用が広がります。

03
2000年代以降

美容・皮膚領域への展開

皮膚・美容領域での研究が注目され、注射・外用など用途が拡大。アジアを中心に使用が広がったと報告されています。

04
近年

適応拡大とエビデンス集積

変形性関節症・眼科・歯科領域など応用が広がり、臨床研究・系統的レビューによる検証が進んでいます。

03BIOLOGICAL EFFECTS

主な生物学的作用

01
01

血管新生の促進

VEGF発現を介して新生血管を誘導。虚血・難治組織への酸素・栄養供給を改善します。

02
02

細胞外マトリクス再構築

線維芽細胞を活性化しコラーゲン・エラスチンを新生。ハリ・弾力・創傷強度を底上げします。

03
03

抗炎症作用

炎症性サイトカインを抑制し、発赤・腫脹を鎮静。修復に適した微小環境を整えます。

04
04

DNA修復・細胞保護

塩基供給により修復を補助し、細胞の生存・増殖をサポートします。

04COMPARISON

PDRNとPN(ポリヌクレオチド)の違い

構造は似ていても、鎖長・分子量の違いが機能差を生みます。臨床では目的に応じて使い分けられます。

PDRN
構造

短〜中鎖のDNA断片(50–2000bp)

主役割

A2A受容体活性化+塩基供給で修復シグナルを駆動

得意領域

難治性創傷・皮膚潰瘍の治癒促進、抗炎症(変形性関節症など)、血管新生・微小循環の改善、骨・歯科領域の組織修復

代表製剤

Placentex(プラセンテックス/伊)、Cellvane(セルベイン/韓)

PN (ポリヌクレオチド)
構造

より長鎖・高分子量のDNA鎖

主役割

ゲル様の物理的足場としてECM再構築・保水を担う

得意領域

肌のハリ・弾力・水分量の改善、小じわ・キメ・毛穴、目周りなど薄い皮膚の若返り、肌質全体の底上げ

代表製剤

Rejuran(リジュラン/韓)、Plinest(プリネスト/伊)

由来による違い ― 動物性PDRNと植物由来の代替成分

古くから用いられてきたPDRNはサケなど魚類(動物)由来です。近年は植物由来をうたう代替成分も登場していますが、両者は原料も科学的裏付けの蓄積も異なります。

動物性PDRN(魚類由来)
原料

サケ・ニジマスなど魚類の精子DNA

分類

狭義のPDRN(DNA由来の低分子断片)

科学的裏付け

創傷治癒・再生医療での研究・臨床報告が蓄積

想定ニーズ

実績・エビデンスを重視する医療現場

留意点

魚介アレルギーのある方は要確認

植物由来の代替成分
原料

植物(大豆・酵母など)由来の核酸・ヌクレオチド成分

分類

「植物性PDRN」等と称される代替成分。定義は製品により異なる

科学的裏付け

報告は限定的で、蓄積は発展途上

想定ニーズ

魚アレルギー回避・ヴィーガン志向など倫理的選好

留意点

「PDRN」表記でも中身が異なる場合があり、成分表示の確認が必要

※ 「植物由来PDRN」は製品・メーカーによって成分の定義や製法が異なり、狭義のPDRN(魚類DNA由来)とは区別されることがあります。臨床エビデンスの蓄積は動物性PDRNが中心です。

05 — CLINICAL APPLICATIONS

臨床応用とエビデンス

創傷治癒

創傷治癒

糖尿病性足潰瘍に関する研究
下肢静脈性潰瘍・褥瘡に関する研究
系統的レビューで閉鎖促進・創サイズ縮小を報告
美容皮膚科

美容皮膚科

皮膚の弾力・キメに関する研究
ニキビ瘢痕・色素沈着に関する研究
ランダム化split-face試験で弾力・テクスチャの変化を報告
整形外科 ほか

整形外科 ほか

関節症・腱障害に関する研究
神経障害性疼痛モデルでの検討を報告
育毛への応用に関する報告

※ 上記は報告されている応用領域・知見の概要です。各領域の研究内容・主要論文については「臨床応用とエビデンス」で詳しく紹介しています。
※ 有効性・適応・リスクには個人差があります。

臨床応用とエビデンス 臨床応用に関する研究・エビデンス 創傷治癒、美容皮膚科、整形外科など、領域別の主要研究と臨床報告を医療従事者向けに整理しています。 臨床応用とエビデンスを詳しく見る
06 — FORMULATION

剤形と投与方法

PDRNは目的に応じてさまざまな形で用いられます。代表的なものは注射ですが、外用・点眼などの形態も研究・使用されています。

01
01
注射
INJECTION

最も一般的な剤形。皮内・皮下への注入のほか、関節内投与など。目的の部位へ直接届けられます。

02
02
外用(ゲル・クリーム)
TOPICAL

創傷面や皮膚に塗布する形態。施術後のケアや、注射が難しい部位への補助的使用が研究されています。

03
03
点眼
EYE DROP

ドライアイや角膜の修復を目的とした点眼剤としての利用が一部の国・研究で検討されています。

07 — SAFETY

安全性・副作用・禁忌

PDRNは製造工程でタンパク質・ペプチドを除去しており、低アレルゲン性で生体適合性が比較的高いと報告されています。ただし安全性が保証されるものではなく、以下の点には注意が必要です。

報告されている特徴
タンパク質・ペプチドを除去した高純度成分で、低アレルゲン性とされる
哺乳類由来ではなく魚類由来で、生体適合性が高いと報告される
臨床研究では概ね良好に忍容されたとの報告があるが、すべてのリスクを否定するものではない
注射部位に一過性の発赤・腫脹・痛みを生じることがある
注意・禁忌(慎重に)
魚・魚介類に重度のアレルギーがある方は事前に申告が必要
妊娠中・授乳中は安全性データが十分でないため慎重に判断
施術部位に感染・強い炎症がある場合は避ける
自己免疫疾患・悪性腫瘍のある方は医師の慎重な判断のもとで

※ 上記は一般的な情報であり、すべてのリスクを網羅するものではありません。実際の適応・禁忌の判断は必ず専門医にご相談ください。

ご留意事項

効果・適応・リスクには個人差があり、標準的な用量・禁忌については今後の臨床的整備が必要です。実際の使用は専門医の判断が前提となります。本ページは医療従事者向けの一般情報であり、特定製品の効果・効能を保証するものではありません。

08 — FAQ

よくある質問

A

どちらもDNA由来ですが、PDRNは短〜中鎖の断片で、アデノシン受容体を介した修復シグナルの起動と塩基供給が得意です。PNはより長鎖で、ゲル状の物理的な足場として保水・ハリの改善に向きます。目的に応じて使い分けられます。

A

目的や部位、個人差により異なります。一般に、組織の修復には一定期間が必要で、複数回の施術を重ねながら徐々に変化を感じることが多いとされます。具体的な見込みは担当医にご確認ください。

A

適応・重症度によって異なります。数週間おきに複数回行うプロトコルが一般的ですが、標準的な回数は確立段階にあり、医師が個別に判断します。

A

注射の場合、針の刺入や薬液による一過性の痛み・違和感を伴うことがあります。必要に応じて表面麻酔などで軽減されます。

A

製造工程でアレルギーの原因となるタンパク質は除去されており、低アレルゲン性とされます。ただし魚介類に重度のアレルギーがある方は必ず事前に申告し、医師の判断を仰いでください。

09 — GLOSSARY

用語集

01
PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)

サケ由来DNAを精製した、50〜2000塩基対のデオキシリボヌクレオチド鎖。組織修復・抗炎症の作用を持つとされる成分。

02
PN(ポリヌクレオチド)

PDRNより長鎖・高分子量のDNA鎖。ゲル状の足場として保水・ハリの改善に用いられる。

03
ヌクレオチド

塩基・糖・リン酸からなるDNA/RNAの構成単位。細胞が新しい遺伝物質を作る際の「部品」。

04
アデノシン

PDRNの分解で生じる物質。細胞表面の受容体に結合し、修復・抗炎症のシグナルを起動する。

05
A2A受容体

アデノシンが結合する受容体の一つ。活性化するとcAMPが上昇し、炎症を抑え再生を促す。

06
サルベージ経路

分解で生じた塩基・ヌクレオシドを再利用してDNA/RNAを合成する、省エネルギーな代謝経路。

07
線維芽細胞

コラーゲンやエラスチンを産生する、組織修復の中心となる細胞。

08
VEGF

血管内皮増殖因子。新しい血管の形成(血管新生)を促し、組織への酸素・栄養供給を助ける。